過労死を残業時間で規制することって、無意味だなあと思う
電通の女性社員が過労死した事件について、思うことを書いてみます。一応たくさんの企業で残業している会社員を見てきたことを踏まえて。
前回も書いたように、基本的には自分は残業は好きではない。そして、残業が好きな人間がいることもにわかに信じ固いのだけれども、どうやら一定数の「残業大好き人間」がいることも、長いサラリーマン生活で理解するようになった。
そんなことから、「残業はやりたい人がやればいいし、やりたくない人はやらなければいい。それで成果に差があるのであれば、給与や賞与で差がついてもよい。もちろん自分は残業はしたくない」というのが自分のスタンス。
もったいない
そんな自分が今回のニュースで感じたのは「もったいない。」の一言。ただただ亡くなった女性が残念でならないということだ。若くて学歴もあり、おそらく優秀な女性が、自ら命を絶つなんて、なんてもったいないのでしょう。
電通が糞企業だとは言いません。おそらく日本でも有数の企業なんでしょう。人によっては素晴らしい企業なんでしょうが、ただその女性には合わなかっただけなんでしょう。
だからこそ、さっさと違う会社を探せばよかったのにって思うんです。世の中にはたくさんの企業があって、絶対この女性の才能を喉から手が出るほど欲しいという会社があるはずです。例えば、中小企業であればぜひとも欲しいという会社もたくさんあるはず。
そんな会社で才能を試すことなく、大事な命を自ら断つのはもったいない。もったいない。この女性に限らず、仕事で悩んで自殺する人は、もったいないってことを自覚してほしいと思います。世の中には、何かしらの仕事ってあると思うのですよ。
仕事を辞めることは、逃げることではないと私は思います。
過労死は残業時間から生まれるのか
それはさておき、この事件が起こってからの対応に疑問があります。政府は「残業が多い企業を規制」しようとしています。電通は労使協定の残業時間の上限を引き下げることにしたようです。
でも、はたして過労死は残業時間”のみ”によって生まれるものなんでしょうか?
月200時間以上の残業ならば…
たしかに、月200時間くらいより多くなると、精神的にかなりまいってくるっていうのは体験済みです。若いころ月200時間以上の残業を数か月した結果、結構ダメージがあったのは覚えています。
よく飲食店なんかで月300時間とかものすごい残業時間→過労死という事例は多く、そうなると残業時間によって過労死が生み出されたっていう因果関係はよくわかります。
しかし、過労死ラインの「残業80時間」って、本当に過労死に直結するんでしょうか?かくいう自分も、残業時間80時間というのは結構普通にやっています。日本の中小企業のサラリーマンであれば、100時間程度の残業って結構やってませんか?
それがいいっていうわけではなくて、それは忌み嫌うべき慣習なのですが、そのくらいの残業をやっているのは珍しくないってことです。なので、それが過労死に直結するっていうのが実感できないのです。
原因はプレッシャー?
残業100時間→過労死というのはそれほど多い事例ではなく、それに何らかの要因が加わって過労死につながるのではないかと思います。それは、精神的圧力・プレッシャーではないでしょうか。
残業100時間程度であれば、多くの人が「いや~疲れた~」といった程度ですむと思います。しかし、それに「納期のプレッシャー」「ノルマのプレッシャー」「上司からのプレッシャー」「顧客からのプレッシャー」が加わることにより、人は一気に追い詰められます。
過労死の一番の原因は、プレッシャーじゃないかと思うんですよ。
解決策はないのですが…
なので、過労死を抑止するために100時間程度の残業を規制するって、ほとんど効果ないのではないかと思うんです。それよりも、パワハラを規制するほうに力を入れたほうがいいのでは。
残業時間のように数字的に表せるものではないので、解決策にはならないのかもしれませんが。
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