アン・タブチのブログ

色々と現状を変えたいと思っているひとです

昔偉かった人の末路

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様々な人

この前、介護施設で働く友人とご飯を食べてきた。友人は介護施設で10年働くベテランだ。その間、多くの老人の介護を行ってきた。様々な人が介護施設に入居してきて、出て行ったのを見届けてきた。

 

好かれる人

その友人との話題に、「介護施設で好かれる人と嫌われる人」があった。友人曰く、介護施設でも好かれる人と嫌われる人はいるらしい。

 

「どんな人が好かれると思う?」

 

と聞かれた。

 

認知症がすすんでいなくて、介護士さんやほかの入居者に手間や迷惑をかけない人かな~」

 

と答えた。

 

が、友人の答えはシンプルで、

 

「笑っている人」

 

とのことだった。

 

「介護施設に入ってくる人は、多かれ少なかれ認知症があったり、身体に不自由を抱えている。だから、多少のことでは嫌われる原因にはならないよ。」

 

 

とのことだった。確かにそうかもしれない。

 

「いつもニコニコしている人は、それだけで許されるし、介護していても悪い気はしないんだ。」

 

と言っていた。なるほど。

 

嫌われる人

「じゃあ逆に、どんな人が嫌われると思う?」

 

認知症がすすんでいて、介護士さんやほかの入居者に手間や迷惑をかける人」というわけではないだろう。

 

「やっぱり実社会でも嫌われるような、粗暴だったり嫌な奴が嫌われるんじゃないの?」

 

友人は、

 

「まあ確かにそうなんだけど、すごく面白い傾向があるんだ」

 

と言った。

 

 

「自分の経験上、社会的に高い立場の人って、介護施設に入ると嫌われることが多いんだよね。」

 

友人の話によると、昔社会的に高い地位にいた人…例えば会社社長とか公務員の上の役職にいた人、元教員なんかに嫌われる人が多いとのこと。

 

「なんで嫌われるんだろ?」

 

自分のイメージだと、そういった人って確かに態度が偉そうなんだろうけど、お金も持っているだろうし立ち居振る舞いもしっかりしていただろうし、嫌われるイメージはなかった。

 

「介護している人間にとって一番悔しくてつらいのが、“お金を払っているんだからやってもらって当然、やるのが当然”っていう態度・言動なんだよね。」

 

「確かに仕事だしお金をもらっているわけだから、サービスを提供するのは当然。でも、介護はそれだけじゃないと思う。やっぱりある程度の信頼関係がないと頭ではわかっていても気持ちがついていかない。そこはわかってほしいんだよね。何かをしてほしいわけじゃなくて、わかってくれるだけでいいんだ。」

 

「自分はプロとしてお金をもらっている以上のこともしているつもり。それを評価してくれとは言わないけれども、“お前ら金もらってるんだからちゃんとやれ”っていう態度だと、一気にげんなりするし、その人のこと好きにはなれないよね。」

 

「で、そうした態度で接してくるって人、昔高い立場にいた人が驚くほど多いんだ。たぶん、自分の妻・夫・部下にいろいろしてもらっていたんだろうね。してもらうのが当然って人が多い。もちろんそうじゃない人もいるんだけどさ。」

 

なるほど。昔は高い地位にあったから、そういった態度をとっても周囲の人はそれを認めてくれた。でも、介護施設に入るとそんな肩書は全く役には立たないから、単純に嫌われるんだ。

 

「あと、ほかの入居者にも、“俺はお前らとは違う”みたいな態度や言動が多くなるんで、嫌われる。」

 

…人生では成功者と呼ばれる人たちなのかもしれなけれど、なんだか悲しいなあと思ってしまった。

 

嫌われる人の末路

 

「そういう人は、介護施設でどうなるの?」

 

 

「やっぱり介護士も人間だから、そういった人には必要以上のことはしなくなるし、無駄な会話もしなくなる。ほかの入居者とも仲良くなれない。あと、往々にして家族がらも嫌われていて、めったに面会に来てもらえない。」

 

 

現役時代に活躍するのは、豊かな老後を過ごすためにはいいことかもしれない。

 

でも、そこで自分の地位を人間としての地位と勘違いしてしまうと、地位を退いたときに切り替えができなくなって、悲しい老後を迎えてしまうのかもしれない。全く地位とは無縁な自分だけれども、そういった勘違いはしたくないものだなと思った。

 

 

 

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