アン・タブチのブログ

色々と現状を変えたいと思っているひとです

男性の「仕事」の価値が低下しているのではないか

 

最近気になっていることがある。それは、男性の「仕事」の価値が低下しているのではないかということについてだ。

 

平均年収は下がり続けており、安定雇用もままならない。成果主義が広がり年功序列もなくなってきた。男性は昔と同じ仕事をしているのに、その価値が上がらない・評価されない、そんなジレンマを抱えているように感じる。

 

男性が一家の大黒柱だった時代

一昔前は、男は「一家の大黒柱」というのが常識だった。私の親もそんな時代の人で、父親が働き、母親は専業主婦だった。父親が稼ぎ・母親は家事をする。それが当たり前だった。

 

父親はいろいろ欠点があり、失敗もした。しかし、「一家の大黒柱」である父親は、家族にとって大事な存在だった。。なんといっても、自分達の食いっぷちを稼いできてくれる父親を尊敬していたのである。

 

大学受験と就職難

そんな子ども時代を過ごした私は、大学受験をする。子どものときから親に言われていたのは、「とにかく大学に行けば、就職できるから。」ということだ。

 

「そうか。まずは大学に入ればいいのだ。」

 

一生懸命勉強して、大学に入学した。これで就職できるなと思っていた矢先、景気が悪くなり、就職氷河期が訪れた。大学を卒業しても就職がない時代になった。

 

思い描いていたような大企業には就職できない時代。希望通りの就職先を見つけるのは困難だった。それでもなんとか就職先を見つけた。

 

そして働き始めた

大学を卒業して働き始めた。

 

一生懸命働いたが、仕事をするというのは大変だ。会社によっては、残業地獄・パワハラ当たり前・給料が安いなど、いろいろな問題がある。

 

大企業ではないのだから、当たり前だ。いや、大企業ですら倒産・リストラがある時代になってしまった。

 

植えつけられた価値観

自分が子どものときに植え付けられた価値観。それは、大学を卒業して→ある程度の規模の会社に入って→給料が上がっていき→結婚→子どもが生まれる→ひとつの会社を退職→老後というものだった。

 

自分も自然とそのようなパターンをたどってきた。現在は結婚して、専業主婦の妻と二人の子どもがいる。

 

親から「こうしろ!」と教わったものではないが、親の生き様をみて自然と植えつけられた価値観だ。

 

女性が働かなければならない時代

しかし、時代は変わってしまい、仕事をしても給料は上がらない(どころか下がる)、会社の経営が不安定になる、リストラにおびえるようになってしまった。

 

そんな時代に、政府や社会は、「だったら女性が働けばいい」というようになった。つまり、「男性の稼ぎだけでは、生活できないでしょ?だったら女性に助けてもらいなさい。」というわけだ。

 

そんなことを強いられる女性も気の毒だと思うのだが、女性は家事・子育てをしながら働かなければいけなくなった。

 

その代わり、男性も家事・子育てを積極的にやりなさい。そんな風潮が強まり、“イクメン”という言葉が生まれた。

 

高まる女性の仕事の価値

そんな傾向の中、女性の仕事の価値は高まり、存在意義は増すばかりだ。家事をこなし・子育てをしながら、仕事もする。

 

家事の大変さが世の中に広まり、「主婦の家事労働の価値は年間1000万円」といわれる。「子育てはホントに大変なんだ。」ということも認知されてきた。

 

一昔の専業主婦が行ってきた「家事」は、「当たり前のこと」ではなく「大変なこと」なんだと、価値が見直されてきている。

 

それに加え、仕事もしちゃうわけだから、女性の価値はうなぎのぼりだ。

 

下がり続ける男性の価値

一方の男性はどうだろう。上で書いたように、男性の仕事の価値は、社会でも家庭でも下がりっぱなしだ。社会的には、賃金が上がらず・雇用も少なくなってきて、男性の仕事は減ってきている。それに従い、家庭内でも存在意義は薄くなってきている。

 

昔のサラリーマンの働きっぷりよりも、今のサラリーマンの働きが著しく劣っているとは思えない。同じ仕事をしているのにもかかわらず、価値が低下してきているのである。

 

さらには、女性が仕事をしなければいけないようになり、家事への参加も求められている。そこで、慣れない家事や育児もがんばってみるが、なかなかうまくいかず、妻から認めてもらえるような働きはなかなかできないものだ。

 

最近の風潮により、男性が家事をやることが“当たり前”になってしまい、たとえうまくやっていたとしてもそれが男性の価値向上につながることが少なくなってきてしまった。男性が家事・育児をするのは当たり前になったのだ。

 

男性はがんばっているのに、認められない時代になってきた。

 

変えられない価値観

私はこの流れに反対しているわけではない。子育ても楽しいし、家事だってできるかぎりしたいと思っている。“イクメン”と呼ばれたい。けども、自分の中にある価値観との矛盾に葛藤することもある。

 

自分の今の給料ではギリギリだし、いつかは嫁さんに働いてもらわなければいけなくなるだろう。それは仕方のないことだというのはわかっている。でも、どこかでその現実を悔しく感じている。

 

時代は変わっているのに、変えられない価値観。父親である自分が、家族を養えるだけのお金を稼ぎたい。妻に働くことを強要したくない。そんな価値観が自分を苦しめている。

 

ちっぽけなプライド

それは本当にちっぽけなプライドだ。「だったら、がんばって仕事すりゃーいいじゃん。もっと稼げばいいじゃん」と思われるかもしれない。けれども、それがなかなかうまくできない人もいるということです。

 

妻に働いてもらわないと家族を維持できない自分。そんな自分に自分で価値を見出せなくなってきている。それでいいのかと。

 

男性の「仕事」の価値

仕事をして、お金を稼ぐというのはホントに大変なことだ。それを続けているだけでも存在意義はあるし、価値はあるはずだ。

 

それなのに、男性の仕事の価値が下がっているのではないか。

 

女性が家事・育児・仕事を両立させているのであれば本当にすごいと思うし、それは尊敬する。女性の価値をもっと認めなければという意見も賛成だ。

 

ただ、男性の仕事の価値も少しは認めてもらいたい。ただ働き続けているということだって、立派で大事なことなのだと。

 

それを認めてもらえるだけでちょっとがんばれるほど、男性は単純な生き物なのだから。