会社における『前例』のパワー
会社のルールは前例で決まっている
会社で働いている人ならわかると思うけど、会社において『前例』のパワーってすごいと思いませんか? 小さな物品の購入から大きな投資まで、この『前例』によって左右される意思決定は多いです。
「何で備品はこのメーカーのこの商品なの?」→「ずっとこれだから。」
「何でパソコンはこのメーカーに決まっているの?」→「ずっとこのメーカーだから。」
「何でこの商品はここから必ず仕入れるの?」→「ずっとここと取引しているか。」
物だけではなく、行動も『前例』で決まることが多いです。
「何でこの決済は複数の管理職の承認が必要なの?」→「ずっと前からやっているから。」
「何でこの曜日・この時間に出勤しなければいけないの?」→「ずっと前からそうだから。」
いいか悪いかは別として、会社のルールって『前例』で決まっていること、多くありませんか?
絶大な前例のパワー 意思決定において、『前例』というのは絶大なパワーを持っています。特に新しいものを拒む抵抗勢力にとっては便利なものです。意見が対立している相手を納得させるのに、『前例』というのはもってこいの武器なのです。
ある人が、 「今回はこの新しいプランで行きましょう!」 と提案すると、誰かが、 「その前例は今までないよ!君は成功を保証できるのか?」 と反論します。
たとえ、新しいプランが正しくて効率的だったとしても、新しいことにはリスクがあります。そのリスクを背負うのは勇気がいることであり、なかなかサラリーマンには出来ることではありません。
失敗すれば、 「ほらみたことか。前例に従わないからこうなるんだよ。どう責任取るの?」 と責任を問われるからです。
その結果、提案者は提案を手仕舞いして前例に屈するのです。 前例で決めるのは簡単 会社が前例通りに意思決定を行ってしまうのは、仕方のないことです。だって、そのほうが楽で、簡単で、誰も責任を問われないから。
たとえその前例があるとき失敗したとしても、そのときの担当者は言い逃れが出来ます。 「私は前例どおりやっていただけです。私に責任はありません。」
これは、特に管理職にとって重要な責任回避方法です。過去からずっと続いているという事実は、誰かに責任を問われたときにもってこいの言い訳になるのです。
また、前例どおりやるのは簡単です。難しいコスト計算も、リスク管理も、状況判断も必要ありません。ただ、これは前例どおりという証明を残せばいいのです。 そりゃあ、会社で前例が力を持つわけです。
せめて抵抗勢力にはならないようになりたい
前例が利益をもたらしているうちはいいのだけど、ある時期からマイナスとなることもあります。
取り巻く環境が変わったり、新しい技術革新があった場合、それを予測できずに無視している『前例』は、時として損をしていたり、害となりえることもあります。
過去にその前例で成功体験なんかがあると、余計に前例はパワーを発揮します。その結果、その前例は時代遅れで使えないものになることもあったりします。
そこに年配社員が前例を武器として抵抗勢力となるのですから、前例を変えることは本当に大変だと思います。 前例を変えたほうが利益になると思ったときに、抵抗勢力をけちらし、新しいやり方に変えられる人になれればいいのですが、なかなかそんな人にはなれそうもありませんね。
だからせめて、抵抗勢力にならずに、その変化をもたらす人を応援できる人になりたいです。年をとったら特にそうですね。
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