アン・タブチのブログ

色々と現状を変えたいと思っているひとです

残業代がでる会社が、必ずしもホワイト企業とは限らない

無駄に何回か転職してる自分。いくつかの会社を転々としたけど、残業代がでる会社とでない会社があった。残業代がでない会社というのは違法だしあってはならないはずなのに、実際にはありましたよ。というか、中小企業は出ないほうが多い。

 

就活中の学生にとっては、残業代の有無というのは気になるところだろう。残業代のでない会社はブラック企業、でる会社はホワイト企業と呼ばれる。もらえるものはもらいたいし、がんばった分だけ収入が増えるほうがいいに決まっている。でも、実際に経験してみると・・・必ずしもそうでもなかった。

 

残業代のパターン

 

残業代については、会社によって色々なパターンがある。

 

  1. ある時間以上働いた場合、残業代がでる会社 ある時間までは残業代がでる会社
  2. 無制限に残業代がでる会社
  3. まったく残業代がでない会社

 

1は、ある時間以上働いた場合に残業代がでるパターン。例えば、月間30時間の残業をした場合、20時間はみなし残業として給与に含まれていて、10時間分の残業代が支払われる。

 

2は、ある時間までは残業代がでるパターン。例えば、月間30時間の残業をした場合、20時間までは残業代として支払われる。それ以上の10時間分については支払われない。

 

3は、働いたら働いた分だけ残業代がでるパターン。月間30時間の残業をした場合、30時間分の残業代が支払われる。

 

4の残業代がでない会社では、月間30時間の残業をしても1円も残業代がでない。

 

残業代がすべて支払われる会社

 

「残業代がでる会社とでない会社、どちらがいいか?」と聞かれると、多くの人は「でる会社」と答えると思う。確かに、もらえるものはもらったほうが得だ。

 

だが、実際に経験してみると、必ずしも残業代がでる会社のほうがいいというわけではなかった。むしろ、残業代がでない会社のほうがいい場合もある。

 

ある時期、「3.無制限に残業代がでる会社」にいたことがある。その会社は「がんばる人にはそれに応じた報酬を」という考え方のもと、残業した分はすべて残業代が支払われていた。

 

その会社に入社したときは、「残業代が全額支払われるなんて、ホワイト企業だ!」と思っていた。 実際、残業代はでた。入社して最初の月は残業するほど仕事を任せてもらえなかった。その次の月、仕事を任され、残業が20時間あった。すべて残業代としてもらった。その次の月、さらに仕事を任された。残業が30時間になった。・・・どんどん残業が増えていった。

 

入社して3年後。月の残業は180時間になった。平日は終電まで働き、土日も出勤した。その180時間分の残業代はすべてもらえた。給料が倍になるくらいの残業代。

 

そのおかげで、お金には困らなかった。好きなものを買える。 でも、なんだか楽しくなかった。だってお金を使う時間がないんだもん。平日はまっすぐ会社に行って、終わったらまっすぐ帰宅。そして何もせず倒れこむように就寝。休日は一日中ごろごろ。どこにも行かない。だから、お金があっても使い道がない。でもストレスがたまる。

 

そうなると、無駄に買い物がしたくなった。高額なモノを買ってみたり、ブランド物を買ったりしていた。たいした興味がないのに。

 

会社で周りを見渡してみると、 会社に傾倒し、仕事に全精力を注ぎ込むワーカホリック(家庭は破綻していたりする) 残業代欲しさに、無駄に会社に居残る生活残業者(残業代がないと生活が破綻する) がゴロゴロしている。 しかも、そんなのが上司になるのだから、「残業サンセー」「残業しないやつはサボっているやつ。」という考え方が蔓延している。だから、仕事がはやく終わっても帰りにくいことこの上ない。

 

だんだんその職場に疑問がわいてきて、辞めてしまった。 残業代がまったくでない上に長時間労働している人もいるだろうから、そんな人から見たら贅沢なんだろうけど、働いていて満足は出来なかった。楽しくないし、何のために生きているのかわからなくなった。

 

残業代がまったく支払われない会社

 

その会社を辞めたあと転職した会社は、「4.まったく残業代がでない会社」だった。それは実際に会社に行き始めてから知らされて、知ったときは「残業代がまったく支払われないなんて、ブラック企業だ!」「ここにも長く居られないな」と思った。

 

この会社も辞めてしまったが、残業代がでる会社よりも長く勤めることになった。残業代がでる会社よりもストレスが少なかったからだ。残業しても給料は毎月変わらない。残業代がでる会社のときに比べると、5割か6割くらいの収入になった。欲しいものはなかなか買えない。

 

でも、時間は増えた。その会社では残業代がでないのだから、誰しもが仕事が終わったらすぐ帰る。無駄に会社に居残る人もいない。だって、居ても意味ないしね。上司も定時ですぐ帰る。

 

だから、気兼ねして帰れないということもない。もちろん、休日出勤もない。 時間が増えると、いろいろなことが出来た。アフターファイブに友人と飲みに行ったり、本当に欲しかったものを探しに行ったり。

 

お金はないから何でもできるというわけではないけれど、ささやかな楽しみは増えた。休日は遠出したり、疲れていたらゆっくりすることも出来る。

 

時間があるから、スキルアップのために習い事を始めた。そこで出会った人とは今でも仲がよい。残業代がでる会社にいた時は、仕事関係の人としか交流がなかったが、残業代がでない会社に勤めているときは、仕事に関係のない人との交流が増えた。

 

交流が増えるに従い、彼女も出来た。残業代がでる会社のときは、忙しくて別れてしまった。恋愛を楽しむ余裕なんてなかったのだ。

 

どちらがいいかは人次第 私の場合は、残業代がでない会社のほうがよかったが、そこは人次第だろう。会社のビジョンに共感し、会社とともに成長していきたいという人にとっては、残業代がでる会社は満足できるものだったろう。

 

逆に、私のように仕事第一ではなく、プライベートを楽しみたいという人にとっては、残業代がでない会社もブラック企業ではない。 残業代がでるのはいいことだけれど、弊害も生まれやすい。

 

仕事をせずに残業代をもらおうとするフリーライダーもでてくるし、「残業=仕事が出来る人」と考え、退社しにくい状況にする上司も生まれやすい。そのような弊害を回避する施策をしっかり整備している企業もあると思うが、対策などない場合が多い。

 

そんな企業に、「ホワイト企業!」と嬉々として入社するのは危険だ。 バランスが重要 結論。「残業代が全額出る=いい会社」ではない。残業と賃金のバランスがしっかり取れていて、それが社員にとって満足のいくものになることが重要だ。